Suzuka Yoshioka
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ポストコロナ社会における司法アクセス

今年度の学部の講義では、「コロナ禍を経た日本社会において、人々の司法アクセスはどのような変化を遂げるだろうか」というテーマについて、11月下旬から回を重ねて異なる角度から考える機会を設けました。

 

講義のオンライン化を逆手に取った試みとして、反転学習、仮想フィールドワーク、グループワークという流れを連続して作りました。

ポストコロナ社会のリーガルサービスについて、需要側と供給側に予測される事態や司法アクセスを阻む要因についてそれぞれが意見を持ち寄り、グループごとの発表を行いました。

全員がコロナ禍の当事者であり「わたくしごと」として問題意識を持てたことも功を奏し、最後のグループワークではリモートでも熱のこもった対話と共有ができたように思います。

 

私自身は、digital nativeであるZ世代があらゆる業態のオンライン・デジタル化に対してどのような感覚を持ち、ユーザーとしてリーガルサービスに何を望むのか、こちらの想定と異なる意見を聞き刺激を受けました。

 

その後、期末試験に該当するレポート課題では、同テーマのもと、射程に入る自由な問題設定での法社会学研究を行ってもらいました。

期限直前の2021年の年明けに再度の緊急事態宣言が発令され、学生の皆さんが思い描くような実態調査をするにはさらに不自由さを強いる状況となりました。

 

そのような中、自発的に、裁判所を含む司法関係者へ果敢に電話インタビューを実施した人や、弁護士をはじめとする実務家との画面越しインタビューを実現できた人も数名いました。

また、グループで共同作業を進めた人達も複数名いましたが、リモートのメリットを生かした役割分担や、実家など異なる地域に居住する利点を活かしたチームでの情報収集等、困難な状況でも意欲的な学びを進める姿勢を見ることができました。

 

もっとも、大きなエネルギーを必要としますので、大変な思いをした人も少なくなかったようです。

 

今年度も、評点とは別に、希望者全員に対してレポートについてのフィードバックコメントを返しました。

授業でも繰り返し伝えていましたが、単位のためとはいえ、この経験は必ず自分の糧になる。

共に頑張った皆さんに改めてエールを送ります。

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